さしのみ

東大で法律学んでる傍ら、高齢化とその他諸々の本、論文の要約レビュー等をやってます。感想・ご意見等、時間の限り書いて寄越してください。

2018-01-01から1年間の記事一覧

万事塞翁が馬、って考えると人はヤル気になる!って研究

英語にはEvery cloud has a silver liningっていう諺があって、「どんなつらい経験をしても、いつかは良い時が来るんだから、絶望してはいけない」ってな具合の意味なんですが、この諺を信じてると人間はヤル気が出るってことが科学的に証明されたんでご紹介…

社会問題批評の枠組みのお話

日本ではいじめや汚職なんて社会問題は日々のニュースの大部を占めているわけですが、お国が変わっても、同じようなことは言えるようで。 今回取り上げる論文は、スウェーデン国内の介護施設におけるスキャンダルと、それについての議論の前提についての小論…

三人称で負の感情が楽に和らぐよ、という脳科学研究

最近、遺伝子と脳科学と精神病理にハマっているわけなんですが、題名通り今回は人称代名詞を変えるだけで負の感情を抑えられるよ、というネイチャー論文をお送りいたします。 他人事なんて言葉があるように、元来、人ってのは他人には自分事ほど強い感情を持…

「高齢化を考える」の3様式

Contemporary Perspectives om Ageism(2018)の第22章Ageism and the Rights of Older People(Taghizadeh Larsson, and Jönson, 2018)という小論から。 高齢者の定年後を専門に勉強してると、地味地味と周囲から言われてしまうわけなんですが、意外にもダイナ…

お笑い芸人と精神病

芸人中でも、「この人、なんか変わってるな」と感じる人ってのは結構いるもんで。僕は個人的にダウンタウンの松ちゃんと、さんまさんが大好きなんですが、お二人とも人格的な暗さが垣間見えるところが面白いんですよ。 これを裏付けるような研究が、オックス…

「日本人論」再考 ~「近代化」不安克服の精神史的状況~

留学先で、「日本」というカテゴリーは、主観的にも客観的にも僕を規定する最大の要素の一つになっておりまして、色々考えるところ。今回は、以前直接お会いした、船曳先生の著作をざっくりまとめておきましたんで、ご参照のほど。 「日本人論」再考 (講談社…

【書評】丸山眞男―リベラリストの肖像

戦後知識人の白眉、丸山眞男の思想と人物像を、同じ東京大学日本政治思想史教授の著者が語っている。 僕が丸山を知ったきっかけは、後述するように、幼少期の全く偶然の出来事だったが、ほかの人も授業や書店で一度はその名を耳や目にしたことがあろう。駒場…

【書評】トレイルズ

アパラチア山脈に沿って三千五百キロに及ぶ自然歩道、それがアパラチアン・トレイルである。著者ロバート・ムーアは五カ月かけてその全行程を歩きとおした。そして彼は、「トレイル」というものそのものについて、考え始める。 トレイル、それは「道」である…