さしのみ

東大で法律学んでる傍ら、高齢化とその他諸々の本、論文の要約レビュー等をやってます。感想・ご意見等、時間の限り書いて寄越してください。

双極性障害についての大規模な追跡調査の結果が公表されてたよ、ってお話

好きにな友人のうち、BIG5でいう神経症傾向が高いような人が多いことなんかから、精神病関連の研究に興味を持ち始めたんですけれども、今回は双極性障害に関するアメリカ・ミシガン州のコホート研究の結果に関する論文をメモ

 

双極性障害ってのは一般に躁鬱なんて言われている症状でして、広くⅠ型とⅡ型との2類型に区分されております。第Ⅱ型は、躁状態の高揚感が軽いこと、更に衝動性が高く自殺率が比較的高いことなども指摘されているよう。生噛りの学問を振り回すようで恐縮ですが。

 

さて、本観察はアメリカ・ミシガン州を中心とする1111人対象の追跡コホート調査になっておりまして、498人の第Ⅰ型診断者、136人の第Ⅱ型患者、更には関連する精神病患者57名に加えて、残りの人数はコントロール、ということになっております。

 

そのうえで、双極性障害の特徴としてどんなことが言えるんだろう、という疑問を調査しているわけでございます。以下、発見を列挙。

・健康面、或いは精神面での障害が、非双極性障害患者に比べて、多い。片頭痛にはじまり、薬物乱用、メタボリックシンドロームも多くみられるよう。

・幼年期、青年期でのトラウマ保持率が高い。

・多価不飽和脂肪酸の摂取量が少なく、飽和脂肪酸の摂取量が多い。

・女性患者においては睡眠の質が症状の深刻さに相関している

・男性患者については鬱症状の深刻さが症状の深刻さに相関している。

・脳の実行機能(ワーキングメモリーとか自己制御能力とか)が低い

 

いやー、門前の小僧だと専門的な議論に追いつけないことをヒシヒシと感じる論文体験でした。統計学の知識が無いと相関関係の評価でのp値とかちんぷんかんぷんなんですよねー。更に、精神病理学の知識が無いと、各病名の腑分けの意味が良く分からないので、関係性がつかめないんですねー。

終わり。